バギン 「みんな、後ろに下がっていなさい。」 ヴァスト!! バギンの呪文で岩が消し飛んだ! 【オヴィングストンの洞窟】 ファルナ 「バギン、どうしたの?顔色が悪いわよ。」 バギン 「…少し力を使いすぎたようじゃ。すまんが、先に行っててはくれないか。」 アトルシャン 「大丈夫か?バギン。」 バギン 「ああ…。」 アトルシャン 「バギン、大丈夫かな。」 ハスラム 「心配ないさ。バギンほどの男のこと、少し休めばすぐに追いついてくるさ。」 そこには白骨になってしまった人間の死体が転がっていた。 アトルシャン 「これじゃあ、通れないからな。」 アトルシャンはそういうと、その死体を通路の脇によせた。 ファルナ 「あら、これは…」 ファルナはフィトマと銘打たれたブロンズの指輪をみつけた。 フィトマの指輪を手に入れた。 ただの白骨死体のようだ。この洞窟に迷い込んだ旅人だろうか。 地面が途切れていた。その先は巨大な空洞で奥の壁は暗く、見えない。 一瞬、生暖かい風が頬を撫でた。緊張が走る。 タムリン 「…!?」 タムリンの目には奥の影がかすかに動いたようにみえた。 タムリン 「気をつけて!何かいるわ。」 しんと静まりかえっている。どれくらいの時間がすぎた事だろうか。先頭のハスラムが耐え切れずに振り向き、口を開いた。 ハスラム 「もういいんじゃないか。どうせ、なにもいやしないさ。」 しかし、誰も答えなかった。その視線は、彼の背後に釘付けになっていた。何かに魅入られているように。背後に寒いものを感じて、ハスラムはゆっくり振り返った。ドラゴンだった。それも超特大の。その頭の大きさだけでも優に10メートルを超えるだろう。アトルシャンが今までに見たどのドラゴンよりも大きかった。それが、ハスラムの頭上数メートルのところにあった。 アトルシャン 「待て!ハスラム。」 思わず剣を取ったハスラムをアトルシャンが制した。ドラゴンの声が響き渡る。 シルバードラゴン 「賢明だな。」 「その剣を抜いていれば、今ごろ、お前たちは全員消滅していたところだ。」「賢いついでに、早くここから立ち去るのだな。命のあるうちにな。」 アトルシャン 「待ってください。」 「もしやあなたがエメラルドドラゴン?」 エメラルドドラゴンの名を聞いて、明らかにそれは動揺を示した。 シルバードラゴン 「エメラルドドラゴンを知る人間がいるとはな…。わしはエメラルドドラゴンではない。残念ながらな。人間!どこでその名を仕入れてきた?」 アトルシャン 「私は人間ではありません。」 『人間ではない?…どういうことなんだ』 アトルシャン 「私の名はアトルシャン。白竜様よりこれを授かり、ドラゴン小国より参りました。」 アトルシャンは銀の鱗を取り出すと、ドラゴンに示した。 アトルシャン 「地上では魔軍がその勢いとどまるところを知らず、殺戮を繰り広げています。」 「このままではイシュ・バーンが魔王の手に落ちるのも時間の問題。」 「魔王ガルシアを倒すには、エメラルドドラゴンの謎を解き明かさねばならないと聞きます。」 「どうか我らにお力を。」 シルバードラゴン 「そうか、お前が銀の鱗を…。わしが眠りについてから、そんなに年月が流れていたはな。」 「おまえは知らんだろうが、その銀の鱗はわしが創ったものなのだ。」 「そう、まだ白竜も生まれていない頃、わしは、自らの鱗を全て剥ぎ取り、千の日と千の夜を徹して磨き上げた。」 「結果として、全ての魔力を使い果たし、このような醜態をさらしてはいるがな。」 よくみると、ドラゴンの鱗は全て剥ぎ取られ、皮膚は露出し傷ついていた。 一方、ハスラムとファルナは、訳もわからぬままに、二竜の話に聞き入っていた。 シルバードラゴン 「エメラルドドラゴンのことが知りたいのだな…」 シルバードラゴンはしばらく考え、言葉を続けた。 シルバードラゴン 「すべての鍵はエメラルドグレイスにある。銀の鱗もその一つだ。」 「まずはイシュ・バーンの各地に散らばっている残りの四つの秘宝を集めるのだ。わしは教えてやれることは、それくらいしかない。」 「さあ、行くのだ。」 アトルシャン 「ハスラム、ファルナ。僕がドラゴンだってこと隠すつもりはなかったんだ。ただ…。」 ハスラム 「気にすんなよ。アトルシャン。お前がドラゴンだろうとなんだろうと、俺にとっては、戦友のアトルシャンに変わりはないんだから。」 ファルナ 「そうよ、アトルシャン。とにかく、今は、シルバードラゴンに教えてもらったエメラルドグレイスを探す以外に、とるべき道がなさそうね。」 アトルシャン 「おや?バギンの姿が見当たらないぞ。」 タムリン 「あれをみて!」 そこにはバギンの杖だけが地面に突き刺さっていた。バギンはどこへ行ってしまったのだろう。 バギンの杖を手に入れた。 タムリン 「まさかバギンさん、魔軍に襲われたんじゃ…。」 ハスラム 「馬鹿な!バギンほどの魔導師がそうやすやすと魔軍の手に落ちるわけがない。」 アトルシャン 「これには何か裏がありそうだな。とにかく。キルデールに戻ってみよう。」 【キルデールの町】 若者 「ああ、その爺さんなら酒場に入っていくのを見かけたぜ。」 バーテン 「バギン…?ああ、あのお年よりなら、今しがた一人でみえられて、スローシュの洞窟のことを聞きまわってましたよ。」 ハスラム 「理由はわからないが、バギンはスローシュの洞窟へ向かったようだな。」 ハスラム 「どうもバギンはスローシュの洞窟へ向かったようだな。」 タムリン 「でも、どうして私たちを置いていく必要があったのかしら?」 ハスラム 「うーん、そこがどうにも判らないところだ。」 タップ爺さん 「スローシュの洞窟には、その昔、死に絶えしドラゴンたちの秘宝が眠っているとか。」 |
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