モドル
【サダの砦】

アトルシャンたちが到着すると作戦会議室に全体に響き渡る声で、サダ司令官はこう令した。

サダ
「エルバード王国騎士団諸君!まさに千載一遇のチャンスが到来した。我が軍が、一昨日入手した情報によると、オストラコン率いる魔軍の主力部隊がフウォーウィー周辺のレジスタンス軍を鎮圧するため、アーバスの砦へ南下したらしい。現在、ザーマの砦を守る舞台は、魔軍の一個中隊のみである。攻撃をかけるなら、今をおいて他にはない!これより、ザーマ砦攻撃を敢行する!」

サダ司令官の率いる王国騎士団は勇ましい歓声とともに、出撃していった。

ハスラム
「アトルシャン、サダが出撃する寸前に耳打ちして行ったのだが、我々はあくまで別働隊として行動することになった。要するにザーマの砦から先はエルバード軍の力は借りられないわけだ。まあ、この現状では俺たちがやるしかない。それじゃあ、俺たちもそろそろ出発するとするか。」


タムリン
「エルバード軍はザーマ砦をうまく攻略できるかしら。」

ハスラム
「心配しなくても大丈夫。ザーマの攻撃はサダに任せておけば、必ず成功するさ。」

【ザーマの砦】

サダ
「困った!敵のバラゴという指揮官がこの砦の出口の鍵を持っているのだが、囚人の中に紛れ込んでしまって、どいつかわからなくなってしまった。」


ハスラム
「アトルシャン、どう思う。俺にはさっぱりわからねぇ。」

アトルシャン
「とにかく囚人たち全員の聞き込みからはじめてみましょう。」

ファルナ
「バラゴは腕がたつわよ。気をつけてね。」


囚人
「あん?俺が魔軍の司令官のわけないだろう。」

囚人
「ここにつかまっている囚人は五人のはずだ。」

囚人
「確か西から二つ目の牢屋には、誰もいなかったと思ったが…。」

囚人
「牢屋なんてものはにおうものさ。」

囚人
「囚人同士の顔なんて、覚えてるわけないだろ。」

囚人
「そういえば、通路を右に向かって走る影をみたような気がする。」

ハスラム
「どいつもこいつも、ロクなことしゃべりゃあしねぇ。これじゃあ、おてあげだ。」

アトルシャン
「いや、そうでもなさそうですヨ。僕には誰だかわかりましたよ。」

タムリン
「え?本当なの、アトルシャン!」

アトルシャン
「ああ、一部屋だけ他とは雰囲気の違うところがあったんだけど、わかるかな?」


アトルシャン
「貴様がバラゴだな!」

ハスラム
「おいおい、何を言い出すんだ、アトルシャン!」

アトルシャン
「囚人なら、ここで何日も過ごしていたはずだ。しかし、ここにはベッドがないばかりか、人の過ごしていた気配さえないじゃないか!」

バラゴ
「畜生!ばれちまったか、野郎ども!やっちまえ!」


ザーマの鍵を手に入れた。

ファルナ
「ザーマの砦から先は、エルバード軍の力には頼れないんだから、頑張ってよ、アトルシャン。」

ハスラム
「キルデールの町の魔軍も撤退したみたいだから、情報でも仕入れによってみるか。」


サダ
「アトルシャン、有難う。おかげで砦を占拠することができた。私は、この砦に残り、魔軍の攻撃にそなえることにしよう。君たちは王のご命令通り、魔王討伐隊として別行動をとってくれたまえ。ザーマの鍵は、何かあったときのために、君たちが持っていてくれ。囚人たちは解放するから安心してくれ。君たちの幸運を祈る。」


【キルデールの町】

バーテン
「魔軍はこの世のものとは思えない魔物たちの部隊で、この町が占拠されたときには、流石に死を覚悟しましたよ。そうそう、魔物といえば、こんな話があります。オヴィングストンの洞窟は入り口が岩で埋もれてしまっているんですが、夜な夜な、洞窟の奥深くから、なんともいえない不気味な声が響いてくるらしいんですよ。人によっちゃあ、悪魔が住みついているんだとか、太古に死に絶えしドラゴンの亡霊だとか噂は絶えないんですけどね。」

バギン
「アトルシャン、これは、一度調べてみる必要がありそうじゃな。」


バギン
「わしにはオヴィングストンのドラゴンの話が妙に気になる。」

アトルシャン
「…?バギン、まだドラゴンと決まったわけじゃないだろう。」

バギン
「と、とにかくオヴィングストンに行ってみようではないか。」

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