モドル

■最後の任務 真実はすべて闇の中へ

 

俺の村を襲った犯人がベーザー=ヘルツだとわかった。俺は配下を集めてひそかにベーザー暗殺計画をくわだてていた…


ジェン
「知っての通り、俺の故郷ゼブ村を滅ぼした男がベーザーだとわかった。俺は一族のかたきをうちたいと思っている。それにはみんなの力が必要だ…俺に力をかしてくれ!」
ジュディー
「わかったわ!」
ダイナ
「相手がベーザーなら文句はないよ」
ギル
「いいぜ!俺もあいつは気にくわなかったからな!」
コルド
「ジェンがそこまでいうならおいらもやるよ!」
レイン
「私もかまいません」
ウォル
「私は反対だ…この話にはのれない」
ジェン
「ウォル?!」
ウォル
「私は理想の国家をつくりあげるため、あなたについてきたのだ!決してあなたのかたきをうつためではない!」
ジェン
「そうか…」
レイン
「申し訳ありません。ウォルには私は後で話をつけます。」
ダイナ
「だけどどうやってベーザーを倒すんだ?」
ジェン
「フェア=ラートの時と同じ手をつかう…決闘というかたちで戦わせるんだ」
ダイナ
「なーるほど!それなら魔王からおとがめをうけることはないな!」
ジェン
「そういうことだ。明日決行するぞ!」


フリード
「こんな場所で何をする気だ、ベーザー?」
ベーザー
「くっくっくっく…じじいよくきけ!今日からこの魔王軍はこのベーザー様のものだ!!」
フリード
「なんだと!!狂ったか!?ベーザー!!」
ベーザー
「俺は絶対の力を手に入れた!もう貴様などこわくはない!」
フリード
「くっ!おのれゲスが!」
ベーザー
「ふっはっはっは!!思い知ったか!!」
フリード
「ま、まさかこ…のわしが…」
ベーザー
「はっはっはっは!今より私は新たなる魔王ベーザー=ヘルツ!!」


ダイナ
「ジェン!大変だ!!」
ジェン
「何だダイナ…騒がしいぞ!」
ダイナ
「ベーザーが魔王を倒しちまったんだよ!」
ジェン
「なんだと!?どういうことだ!?」
ダイナ
「俺もよくわからないけど、とにかく逃げた方がいい!!ベーザーはおまえを嫌ってるからここにいたらつかまるかもしれないぜ!」
ジェン
「おのれ、ベーザー!!」
ダイナ
「俺は他の奴らに連絡するからいそげよ!」
ジェン
「ジュディーはどうした!?」
ダイナ
「先に話しておいたから城の門で待っているはずだ!ジェンとジュディーは先に逃げてくれ!」

ジュディー
「ジェン!!ああ…よかった!無事だったのね!」
ジェン
「ジュディー…心配をかけたな…」
ジュディー
「他のみんなは?」
ジェン
「今、ダイナが連絡をしているところだ!それよりも早くここから逃げよう!」
ジュディー
「みんなを待たないの?」
ジェン
「俺達だけ先に逃げるようにとダイナにいわれた。」

ジェン
「逃げるといってもどこへ行ったらいいか…」
ジュディー
「私の故郷、ホルンの村に行きましょう。あそこならきっと大丈夫よ!」
ジェン
「ジュディーの…確かトゥードの湖の西にあったな?」


ジェン
「確かこの湖の下を通らないといけなかったな?」
ジュディー
「そうよ」


ベーザー
「フン!ジェン=ドールマンはつかまらんのか?」
ニッド
「はっ!申し訳ございません。ただいまのところ、全力をもって捜索中です!」
ギル
「ケッ!残念だったな、お目当てのジェンがつかまらなくてよ!」
ニッド
「だ、黙れ!」
レイン
「ふっ…それよりもベーザー殿、よくあなたごときの力で魔王に勝てましたね?」
ベーザー
「くっくっく…愚か者どもめ、そうか…!貴様等をだまらすにはこれが一番だな、トーデス殿こちらへ!」
ギル
「な、なんだと!?」
レイン
「バ…バカな!?」
コルド
「あ…あ…」
ベーザー
「紹介はいらんだろう…君たちが最も恐れる男、トーデス殿だ!」
ギル
「そ…そんな筈はねえ!てめえはあのとき死んだ筈だ!」
トーデス
「あれは私のダミー。私の本当の力はあんなものではない」
レイン
「ベーザー!貴様が魔王に勝てたのもトーデス殿の力があったからだな!?」
ベーザー
「そうだ…トーデス殿のおかげで私は強大な力を手に入れた!」
トーデス
「ベーザー。こいつらをジェン=ドールマンと戦わせよう…」
コルド
「おいら達がジェンと戦うはずないぜ!」
トーデス
「ふっふっふ…そいつはどうかな?」


神父
「おおジュディー、戻ってきたのか!」
ジュディー
「神父さん…私…」
神父
「…いいんじゃよ。無事だったならそれで何よりだ。」
ジュディー
「ありがとう神父様…」


「ジュディー!!」
ジュディー
「お…お母さん!ただいま戻りました!」
「あ、あんたって子は!勝手に村を出ていってどれだけ心配したことか!…おや一緒にいるのは?」
ジェン
「久しぶりです。おばさん」
「ジェンちゃん!生きていたのね!?」
ジュディー
「ごめんなさい。お母さん。私たち色々あって疲れているの…話は明日にして休ませてくれない?」
「もうこの子はおちついて話もさせてくれないのね!わかったわ。今日はゆっくり休みなさい。」


「ジェ…ジェンちゃん!起きて!家の外に魔王軍の兵士がいるわ!」
ジェン
「ま、魔王軍が!?ジュディー起きろ!」
ジュディー
「何よ?こんな早くから!」
ジェン
「魔王軍の奴らが来た!逃げるぞ!」
「ど、どうしてあなたたちが!?」
ジュディー
「ごめんなさい、今、説明しているヒマはないの!ジェン!私の家の地下から逃げましょう!」

ジェン
「な、何故ローゼン様がここに!?」
ローゼン
「何故?君と戦うために決まっているじゃないか!ベーザー様は君の死を願っておられるのだよ!」
ジェン
「まさかローゼン様がそんなことをいうはずが…」
ローゼン
「死ね!ジェン=ドールマン!」

ローゼン
「…ジェ…ジェン…」
ジェン
「ローゼン様!?くっ、何故ローゼン様が!?」
ジュディー
「きっとベーザーの仕業よ!」


ジェン
「ギル!レイン!無事だったのか!?」
ギル
「……」
レイン
「……」
ジェン
「どうしたんだ、ふたりとも?」
ギル
「実はな…ジェン…」
レイン
「おまえを倒しに来たんだよ!」
ジェン
「な…なにをバカなことを」
レイン
「死ね!ジェン=ドールマン!」


ジェン
「ギ…ギル…レイン…嘘だろ…?嘘だよな?お、おい何とかいえよ!」
レイン
「ジェ…ジェン…」
ギル
「す…すまねえ…ジェン…」
ジェン
「あ…あ…ああああああ…うぁぁぁぁぁぁ!!!」
ジュディー
「ジェ…」
ジェン
「ははははは…俺は大バカやろうだ!ギルもレインもしんじまった、そうだ!俺が!俺がこの手で!」
ジュディー
「や、やめて、ジェン!そんなに自分を責めないで!きっとギルもレインもベーザーにあやつられて…」
ジェン
「俺がやったことに変わりはないだろ!」
ジュディー
「ジェン…とにかくここを出ましょう…」


ダイナ
「なあ、本当にいっちまうのか?」
ウォル
「ああ…私はジェンの復讐に手を貸すつもりはない。それよりダイナ、君こそどうするんだ?あてがないなら私と一緒に神の国へ行かないか?」
ダイナ
「はっはっは…やっぱり俺はジェンが好きだから…ジェンのために戦いたいんだ」
ウォル
「そうか…ではこれでお別れだな」

ジュディー
「これからどこへ行こうかしら…」
ジェン
「…セブ、セブの村に戻ろう…」
ジュディー
「セブの村…そうね…そうしましょう。セブはラーゴンの北東だったわね。」


ジェン
「セブ…ようやく帰ってきた」
ジュディー
「ジェン、今日はもう休みましょう。」

ジュディー
「あ…あなたはルクス!?」
ルクス
「久しぶりだね」
ジュディー
「あなた達もジェンを倒しにきたのね!ジェンには指一本ふれさせないわ!」
メロウ
「勘違いしないで、ジュディーさん!私たちはあなたたちの力が借りたくてきたの!」
ジュディー
「私たちの?」
メロウ
「ヘルターナの洞窟を解放した後、魔王城に乗り込もうと思っているの!あなたたちなら魔王城のことをよく知っていると思って…」
ジェン
「OKだ…その話のるぜ…」
ジュディー
「ジェン…」
ジェン
「魔王城にのりこんで、べーザーを倒してやる!やつを倒せるなら何でもやってやるぞ!」
ルクス
(どうしたんだ、ジェンは…?)
ルクス
「わかった、僕たちは先にヘルナータへ向かうよ。後から来てくれ」
ワット
「ヘルナータはティンカンサスの南東にあります」


ジェン
「デグ様!!」
デグ
「ジェ…ジェン!?なぜおまえがここに!?」
ルクス
「待ってたよ、ジェン!」
デグ
「ジェン、貴様、勇者とつるんでいるのか!?」
ジェン
「べーザーを倒せるならどんなことでも!」
デグ
「…そうか、ギルとレインの…」
ジェン
「デグ様!あなたこそ何故べーザーなんかにしっぽを振っているんだ!こんな洞窟の番人なんかやらされて悔しくないのか!?」
デグ
「お前のいうとおりかもしれん。しかし、私は武人として戦いの中で死にたいのだ!せめて勇者を道づれにして魔族の誇りを失わずにな!」
ジェン
「デグ様…私はこの手でローゼン様を倒しました…わかってください!私はあなたと戦いたくないのです!」
デグ
(ジェン…)
デグ
「………わかった…」
ジェン
「それでは!?」
デグ
「私はここでお前と別れよう…」
ジェン
「一緒に戦ってはくれないのですか?」
デグ
「それはお前の役目だ、そうだろ、ジェン?」
ジェン
「は、はい!」
ルクス
「な、なんだこいつは!?」

「ごきげんよう…勇者ルクス…そしてジェン=ドールマン」
ジェン
「この声はべーザー!!貴様ぁ!!」
ボルト
「べーザー!?こいつが今の魔王か!」
べーザー
「自分の力だけでは勝てぬとみて勇者とくむとは愚かなり!!」
ジェン
「黙れ外道が!!」
べーザー
「はっはっはっは!私と戦いたかったら魔王城までやってこい!ただし私のもとまでやってこれるかどうかはわからんがな!」
ルクス
「ジェン!魔王城へ向かおう!」
ジェン
「ああ!」


ジェン
「ダイナ!無事だったのか!!」
ダイナ
「いやーすまん!すまん!ジェンがここにいるってわかるのに手間取ってさ!あれ…?どうしてルクスと一緒なんだ?」
ルクス
「ジェンと一緒に魔王城にのりこむことにしたんだよ。」
ダイナ
「へー!勇者とタッグとはすごいじゃん!」
ジェン
「どうするダイナ?お前まで一緒に行くことはないんだぞ?」
ダイナ
「バカいうなよジェン。お前と一緒に戦うために俺は戻ってきたんだぜ!」
ジュディー
(ダイナ…ありがとう)
ジェン
「…ダイナ」
ダイナ
「さあ、べーザーを倒しに行こうぜ!」


ルクス
「どうしたんだい?」
ジェン
「ルクス…ここからわかれよう」
ルクス
「えっ?どうして?」
ジェン
「魔王城には二つの出入り口があるんだ。ひとつは城の正面、もう一つは民家の地下…わかれていったほうが敵の戦力を分散できるだろう」
ルクス
「それならば僕たちは正面から攻めよう!」
ダイナ
「じゃあ、俺たちは地下からだな」
ボルト
「お互い気をつけていこう」
ワット
「がんばりましょうね」
ダイナ
「お前たちもな!」
メロウ
「ジュディーさん、死なないでくださいね!」
ジュディー
「あなたも頑張ってね」
ルクス
「必ずべーザーを!」
ジェン
「ああ!」


ジェン
「なんだこれは!?」
ダイナ
「魔王城が変わっちまった!?」
ジュディー
「いつのまにこんな…」
ジェン
「どうやら俺たちの知ってる魔王城じゃないようだな・・・気を引き締めていこう!」


ジェン
「コルド!!生きていたのか!」
コルド
「…」
ダイナ
「どーしたんだよ、コルド。すっかりおとなしくなっちまって!」
コルド
「た、倒す…」
ダイナ
「へっ?」
コルド
「ウガァァァァ!!た、倒してやる!ジェ…ジェン!!テメーを倒すんだ!!」
ダイナ
「コ…コルド!?なんだよ。俺だよ、ダイナだぞ!わからないのか!?」
ジェン
「こ、これは!ギルとレインの時と同じ!?」
ジュディー
「そんな・・・コルドまで…!」
ジェン
「だめだ、ダイナ!こうなってしまったからにはどうにもならない!」
ダイナ
「た…戦うのか!?コルドと!?」
コルド
「死ねーーーー!!」
ジェン
「くっ!!」
ダイナ
「ジェン!俺にはなんだかよくわからねえ!コルドは俺にまかせて先に行くんだ!」
ジェン
「ダイナ!」
ダイナ
「だ、大丈夫だ!」
ジェン
「すまん。ダイナ!」

ダイナ
「コ…コルド!しっかりしろ!俺だよ、ダイナだよ!」
コルド
「テメェェェ!邪魔しやがって!」
ダイナ
(だ、駄目なのか!?コルドを元に戻すことはできないのか!?)
コルド
「いつまでひっついてんだよ!離れやがれ!」
ダイナ
「コルド…お前ひとりじゃ寂しいだろ?俺と一緒にあの世に行こうぜ…」


ジュディー
「ダイナ…大丈夫かしら?」
ジェン
「あいつのことだ。大笑いしながら戻ってくるさ…それよりこの女神像は何なんだ?」
ジュディー
「見て…像に変なボタンがあるわ」
ジェン
「なるほど…これで何かをきりかえるんだな。」


ジェン
「あなたは?」
ゼーレン
「ふぁっはっはっは!そうだ!魔王軍四侯爵が一人、魔界の闘士ゼーレン=ツォーネだ!」
ジェン
「あんたもべーザーのいいなりか…あわれなもんだな」
ゼーレン
「だ、黙れ!調子に乗るなよ!」


あたたかい光が満ち溢れ、はるか虚空の彼方から神々しい声が聞こえる・・・


ジェン
「邪赤竜ヘルト=ハイス…今度はあんたの番か?」
ヘルト
「ふっふっふっふ…ご挨拶だな、ジェン=ドールマン」
ジェン
「あんたはべーザーを嫌ってたんじゃないのか?」
ヘルト
「べーザー様が魔王になった以上、そんなことは関係ない」
ジェン
「所詮、あんたはその程度なんだよ」
ヘルト
「なんだと!?」


ニッド
「ご苦労だったな、ジェン。よくここまで来れたものだ!」
ジェン
「フン!べーザーはどこにいる?」
ニッド
「べーザー様はこの部屋の先におられる…しかし、私がいるかぎり貴様がべーザー様に会うことはない!」
ジュディー
(この先にべーザーが!?)
ニッド
「はっはっは!!新たに魔王軍四侯爵の一人となったこのニッド=ベルグ様の力に恐怖するがいい!」
ジェン
「べーザーが魔王になったからくりこして公爵になっただけだろ?ジュディー!?」
ジュディー
「ジェン…あなたは先に行って!ニッドは私が倒すわ!」
ジェン
「バ…バカな!何をいいだすんだ!」
ジュディー
「べーザーは目の前よ!あなたはべーザーを倒すことだけを考えて!」
ジェン
「ジュ…」
ジュディー
「ここは任せて!」


ニッド
「お嬢さんが私の相手か?へっへっへ、悪くないな・・・」
ジュディー
「いやらしい笑いをしないでよ!」

「ちょっと待て!」
ウル
「ふーなんとか間に合ったか!」
ニッド
「き、貴様!ウル=ハイデン!何しにきた!?貴様はべーザー様から勇者のパーティと戦えと命じられていたはずだろ!」
ウル
「フン!わしはべーザーの配下になった覚えはない!ジェンを助けるためにおとなしくしていただけだ!」
ニッド
「な、何だとーー!!」


ジェン
「ルクス!無事だったか!ん・・・?他の仲間はどうした?」
ルクス
「ルームガーターを倒すために、僕を先に行かせるためにみんな部屋に残っていったんだ…」
ジェン
「そうか…俺と同じだな・・・」
ルクス
「みんなのためにも力を合わせて魔王を倒そう!」
ジェン
「ああ!!」

ニッド
「うぎゃあああぁ!!」
ウル
「フン!その程度の力でよく公爵などといばれたものだ!」
ジュディー
「あ、ありがとうございます、ウル様!」
ウル
「私が力をかせるのはここまでだ…早くジェンの元に行ってやるがいい」
ジュディー
「は、はい!」


べーザー
「くっくっくっく…よくぞここまで来たな、勇者ルクス!ほめてつかわすぞ」
ルクス
「おまえが魔王べーザー!」
ジェン
「ベーザー!」
べーザー
「フン…ジェン=ドールマンか…虫けらごときがこの私にさからうとは愚かなやつよ…」
ジェン
「ギルやレインたちが俺を襲ったのは貴様のせいだな!」
べーザー
「その通り…あのお方からさずかった強大な魔力によって奴らを洗脳したのだ!」
ルクス
(あのお方…?)
べーザー
「どうだ、ジェン=ドールマン?自らの手で仲間を倒した感想は?くっくっくっく…」
ジェン
「ベーザーァァァァ!!貴様ー!」
べーザー
「はっはっはっは!さあ、かかってこい!虫けらの力を見せてみよ!」


ルクス
「やったぞ!」
ジェン
「思い知ったか!べーザー!」
べーザー
「くっ!ま…まさかこの私が…このべーザー=ヘルツがこんなやつらに!」
ジェン
「最後に聞いておくことがある。俺の一族…セブの村を滅ぼしたのは貴様だな?!」
べーザー
「セ…セブの村?ふっ…きいたことも…ないわ!」
ジェン
「嘘をついても無駄だ!貴様が魔法実験を行ったことはわかっているんだ!」
べーザー
「残念だっ…たな。私が実験を…行った…のは、ゼ…ゼノ城の人間を相手に…だ!村など…は…」
ジェン
「ベ…べーザー!どういうことだ!?べーザー!!」

「その質問には私が答えよう…」
ジェン
「き…貴様はトーデス!生きていたのか!?」
トーデス
「フッフッフッフ…」
ルクス
(黄金戦士!?べーザーが言っていたのはこいつのことだったの!)
ジェン
「貴様がすべての黒幕だったとはな…何故、俺につきまとう!貴様の目的はなんだ!?」
トーデス
「フッフッフッフ…ジェン=ドールマン…実は私がお前に会うのはこれで三度目なのだよ…もっともお前は私と初めて会った時のことを忘れているようだがね…」
ジェン
「三度目…な・・・何のことだ!?」
トーデス
「いいだろう…思い出させてやる…これがお前の心の中で消え去った記憶だ…」

ジェン
「な・・・何をするんだ!痛いじゃないか!」
トーデス
「ふっふっふっふ…ようやく見つけたぞ…まさかこんな村にかくれていたとはな…」
ジェン
「な、何のことだ?俺が何をしたっていうんだ!?」
トーデス
「なるほど…お前は自分の意志で超魔導をつかえなくなっているのか…これは都合がいい…おとなしく死ぬがいい!しぶとい奴め!これでも死なんのか!」
ジェン
「ぉぉぉぉぉぉ!!うぉぉぉぉぉ!!」
トーデス
「ちょ…超生体化!?意識はないはずなのに!」
ジェン
「うぉぉぉぉ!!」
トーデス
「しまった!この村ごとふきとばすつもりか!!」

ジェン
「そ…そんな俺が…俺が村を滅ぼしたというのか!」
トーデス
「そういうことだ…」
ジェン
「嘘だ!こんなデタラメ信じられるか!それに貴様は何者なんだ!言ってみろ!」
トーデス
「私は神の国からお前を倒すために来た超生体トーデス!」
ジェン
「超生体…さっき俺のこともそう呼んでいたな!」
トーデス
「超生体は神がおつくりになられた最強の戦闘生命体だ…その力は人間たち旧生体、魔物たち新生体とは比べものにならん…」
ジェン
「何故、俺が超生体なんだ!」
トーデス
「お前は300年前、この島に渡ったプロト超生体…人間どもが黄金戦士と呼んでいたのはジェン…お前のことだ!」
ジェン
「なっ!!」
ルクス
(バ…バカな!ジェンが黄金戦士だと!!)
トーデス
「プロト超生体がこの島で生きていることが分かったため、神が私をつかわしたのだ…お前を抹殺せよとな!」
ジェン
「だ、黙れ!そんなこと信じられるか!!」
トーデス
「ふっふっふ…仲間を倒し、人間どもを倒し、この上、何を倒すというのだ!?」
ジェン
「黙れぇぇぇぇぇぇ!!」
ルクス
「ジェ…ジェン!?」
ジェン
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
トーデス
「はっはっはっは!できそこないのプロト超生体がこの完全なる超生体に勝てるものか!」


トーデス
「そ、そうか…この力か…この力が神を恐れさせたの…だ…な。しかし、こうなった…からには、お…前は自分の…力を制御できまい…しかも…追い詰められたお前の精神は…その力に、た、たえることは…に…任務…し…終了…」
ルクス
「ジェン!どうしたんだ!?戦いは終わったぞ!」
ジェン
「うぉぉぉぉぉ!!」


ジュディー
(早くジェンの元に行かないと…いやな予感がするわ!)
ジュディー
「な、何!?すごい魔力が!!」

魔王城は光につつまれ、やがて静けさをとりもどす…
ジェンの超魔導の暴走により魔王城は消滅したのだ…
魔王軍は滅んだといっていいだろう…
しかし、人間たちはしらない・・・
魔王軍を崩壊させたジェン=ドールマンという魔物の名を…


勇者ルクスは魔王軍を滅ぼした英雄として祝福を受けていた。
「ありがとう、勇者様!きっと勇者様なら魔王軍をやっつけてくれると思ってたよ!」
「やりましたね!勇者様!」
「イルラント中の人々があなた方に感謝しています!」
ルクス
(ジェンはどこにいったのかな…本当はあいつが僕の代わりに祝福を受けるはずなのに…)


魔王城から命からがら逃れたジュディーはジェンを求め、さまよう…
ジュディー
「ジェ…ジェン…どこに…どこにいるの…」

ジェン
「…ひ…光が、光がまぶしいよ…あ…あ…ひ…光…大きな…大きな光が迫ってくる…み…みんな消えちゃうんだ…」
住民A
「あー!こいつ魔王軍の兵士だ!見覚えがあるぞ!」

「まちがいないわ!こいつ魔王軍の兵士よ!」

「こいつめ!さんざん俺たちをコケにしやがって!どうしてくれようか!」
ジェン
「みんななにしてるの?早く、早く逃げなきゃ。大きな大きな光がやってくるんだ…」
住民A
「何だこいつ!まともじゃねーぞ!」

「まともじゃなくても魔物には変わりないわ!こんなやつ、部屋にとじこめておきましょうよ!」

「そうだな!こいつがもがきながら苦しむのを見るのもいいな!」

「はっはっは!そりゃ愉快だ!」

※子供を助けなかった場合:
住民A
「フン!テメーはここでおとなしくしてろ!」

「ざまぁみやがれ!」
ジェン
「あ…ああ…」


正しきものは勝利の宴をむかえ、悪しき者は闇の彼方にほうむりさられるのか。

ジェン=ドールマン…

この男がこのあと、どういう運命をむかえたか知る者はいない…


※子供を助けた場合

子供
「まって!この人は悪い魔物じゃないよ!ぼくをたすけてくれたことがあるんだ!」

「子供はだまっていなさい!」

「そうよ!子供にはわからないことなの」

「悪くない魔物なんていないんだぞ!」

「フン!テメーはここでおとなしくしてろ!」

「ざまあみやがれ!」
ジェン
「あ・・ああ・・・・」
子供
「ごめんよおにいちゃん・・まさかこんなことになるなんて・・・・」
ジェン
「う・・・・あぁ・・あ・・」
正しき者は勝利のうたげをむかえ悪しき者はやみのかなたにほうむりさられるのか・・ジェン=ドールマン・・・・あわれなるこの男にさしのべられたすくいのてはきっとだれの心の中にも あるにちがない・・・・


モドル